日本代表にも選出されたことがあるセンターバックで元鹿島アントラーズの岩政大樹選手(東京ユナイテッド所属)が書かれた書籍がピッチレベルですが、内容としては以下のようなことが記載されていました。
・日本代表まで経験された方が、どのような考えを持ってサッカーをしていたのか?
・J1でも通用するような力がありながらも、何故、タイやJ2、さらにその下のリーグでプレーをした、しているのか?
・サッカー選手でなくても、持ち合わせていたい岩政選手の考え方
目次 Contents
岩政大樹選手(いわまさだいき選手)とは
岩政選手は山口県の出身で、東京学芸大学を卒業して、鹿島アントラーズに入団し、鹿島アントラーズのセンターバックとして、3連覇を達成したときの主力として活躍し、日本代表としても選出されるほどの選手です。
その外見からヘディングが強いことは想像でき、屈強なディフェンダーということは間違いないのですが、その一方で、大学時代には数学の教員免許を取得する才能もあり、失礼な言い方になってしまいますが、その外見に似合わず、非常に論理的に物事を考えている方だということが分かりました。
ブログ:岩政大樹オフィシャルブログ「No Pain No Gain」
コラム:現役目線
どのような考えをもっていたか?
本の中で書かれていたことで参考になった部分をまとめてみました。
勝者のメンタリティー(P50)
「いつもより大事な試合」があるということは「いつもより大事ではない試合」があるということです。勝者のメンタリティを備えた選手とは、そうやって自分で勝手に試合に優越をつけたりはせず、どんな試合も勝つためにプレーできる選手だと思います。
常にその時の試合に全力を尽くすことが大切ということが書かれており、試合自体に優劣をつけないことが勝者のメンタリティと書かれていました。
自分たちのスタイルに表と裏を用意しておく(P65)
勝負所の試合に勝つ確率を上げるためには、「自分たちのスタイル」と呼べるものに「表」と「裏」を用意しておくことが大切だということです。
自分たちのスタイルをひとつに決めて、そのスタイルに固執してしまうと、そのスタイルで戦えない場合、バタついてしまい勝利することが難しくなってしまう。そのために、「裏」のスタイルを持っておくことで、より勝利する確率を上げることができるとのことでした。
相反するように見えるものが処方箋になる。(P102)
例えば、試合において攻撃がうまくいっていないときに、それを改善する薬は、攻撃を直すことではなく、守備を直すことです。チームの攻撃がうまくいかない時期には、「攻撃をどうしたらいいか」と悩みがちですが、実はあまり深く考えずに守備からやり直し、いい形でボールを取れるようにすれば、すぐさま攻撃がうまく回り出したりします。
~中略~
問題点を違う視点から考え直す、という作業を意識してやっています。
全く違うものと考えるのではなく、繋がっていて、混ざり合っているものと考えて、問題点を見つめなおすことで新たな解決策が見つかるのではないか?このような考え方も持っておくと、問題点に関する解決方法が見つかったりするのではないかと感じました。
なぜ、タイやJ2などでプレーしているのか?
鹿島アントラーズで活躍していた岩政選手ですが、鹿島アントラーズからタイのチームに移籍し、カップ戦で優勝を成し遂げたり、その後、J2のファジアーノ岡山に移籍して、J1昇格プレーオフの決勝戦まで進む活躍もしましたが、翌年には東京ユナイテッドFCに移籍するなど、まだまだJ1で活躍できるだけの力がありながら、J1以外のリーグに移籍したのか?その理由をまとめています。
できるだけ真逆の視点が必要(P73)
鹿島を離れるときに僕は、鹿島でしてきたものとは「できるだけ違う経験」を求めました。
~中略~
「できるだけ違う経験」を求めたのは、自分の中にあるいろいろな疑問、思考への答えが見えてくるような気がしたからでした。
経験してきたことや、見えてきたこと。
それらを客観的に評価するためには、できるだけ真逆の視点が必要だと思っていたのです。
高いレベルから低いレベルまで実際にご自身で経験することで、そこから得た経験を自分なりのことばで説明されている点に説得力がありました。
「外国人選手としてプレーする」(P258)
海外に行き「外国人選手としてプレーする」という経験を絶対にしなければならない、という思いから、僕の中では論理的な決断でしたが、「なぜ今なんだ?」「もっとレベルの高いところでプレーしたあとでもいいのではないか」という意見も当時多く耳に入ってきました。
タイではリーグ優勝こそ果たせなかったとのことですが、13年ぶりにカップ戦のタイトルを取ることができたとのことです。タイの人々がまさか岩政選手の所属するチームが優勝するとは誰もおもっていなかったぐらいの快挙だったようです。ちなみに、その当時一緒にプレーしていた若手選手の多くが、現在ではタイ代表に選ばれるようになっているとのことです。
ファーストキャリアなのかセカンドキャリアなのか分からない状態(P221)
引退後が現実的にイメージできるようになってからは、新しい経験の必要性を感じるようになっていきました。鹿島という居心地のいい場所から飛び出す決断も、そこからスタートしていました。
~中略~
そのとき、僕は一つのチームしか知らない人間でいることはとても危険に感じました。だから、これまで書いてきた通り、鹿島とは”できるだけ違う”場所を探し、それが僕の中でタイであり、岡山でした。
~中略~
結局は、今の自分と向き合うことだと思います。そして、「今を生きる」という感覚を持つことができるなら、それが正解だと思うのです。
ファーストキャリアもセカンドキャリアも僕の一つの人生です。区別するべきものもありますが、続いていく人生の中で考えるのはいつまでも成長をしていたいということです。引退は通過点です。選手として持っていた仕事への姿勢、成長への考え方を途切れさせることなく持ち続けたいと思っています。
先のことを考えながらも今、何をすればよいのか?するべきなのかを考えているために、様々な経験を求めてタイやJ2、さらに東京ユナイテッドFCへの加入と繋がっています。
持ち合わせていたい考え方
学生なら自分の進路の選択をしなければいけない時、社会人であれば転職や自分のやりたい仕事の選択などで悩んでいるときに、以下のような考え方を参考にすると良いのではないかと思いました。
夢へ上る3つの観点
「~だからこそできること」を選ぶ
「ある出来事が起こったからこそできること」はいつも意識していることです。簡単に言えば「諦めないこと」+「次に生かすこと」です。
「めんどくさいこと」を選ぶ
自分が第一印象で「めんどくさい」と思ったことは必ず、それをすることで自分を大きくすることができます。
「人のためになること」を選ぶ
意識しているのは、行動に移すときのスタート地点です。
サッカーの世界でよくありがちなのが、「若手のため」と言いながら、実際は「自分のため」であることです。~中略~その若手選手には必ずそのスタート地点が伝わってしまうのです。
このように、悩んだときなどで決断をしなければいけない場合に、この考え方を持っていると判断がしやすくなるのではないかと感じました。
「夢を持とう」と言う代わりに
夢を持つことは素晴らしい。それに向かって頑張ることはすばらしいことです。
しかし、夢を明確に描けなくても構わない。夢を持つことは、日々を少しでも頑張る自分になるための手段であり、目的ではないのです。だから、僕は子どもたちには「夢を持とう」と言う代わりに「好きなことを思い切り頑張ろう。嫌いなことも一生懸命頑張ろう」と話すようにしています。
夢を持つことは大切ですが、必ず持たなければいけない訳ではないという部分に共感が持てました。
また、「夢を持つことは手段であり、目的ではない」という部分には、はっとさせられる部分でした。
「当たり前」にある2つの捉え方
当たり前を当たり前にし、当たり前を疑う
文字だけを見ると矛盾していると感じる文章です。
ただし、当たり前のことを当たり前に徹底することは難しいかと思います。ただし、徹底することで、そこから抜け出すことが難しく、マンネリ化してしまう。時には、常識外れなこと=当たり前を疑ってチャレンジすることも大切だと説明されていました。
矛盾しているだけに、印象に残る文章でした。
動画
「PITCH LEVEL(ピッチレベル)」で記載されていた試合の中で動画を探してみました。
P48 2008年第33節 岩政選手のゴールシーン
P22 2016年J1昇格プレーオフ準決勝 ファジアーノ岡山対松本山雅
最後に
選手目線でのサッカーの考え方が書かれており、技術だけではない、サッカーの奥深さを垣間見ることができる本でした。
→ JFAナショナルフットボールセンター(千葉県幕張)は2019年中に完成予定
→ 子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!(林成之著)を読んで
→ 「超・箇条書き」(杉野幹人著)で分かった3つのコツ!
→ UEFAチャンピオンズリーグ2019がDAZN(ダゾーン)で視聴できるようになっていた!
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